「原稿整理」「リライト」と言うけれど

我々編集者の仕事の1つに、原稿の表記のゆれや誤字脱字の統一・整理などを行う、原稿整理というものがある。著者の原稿を「適切に」「読みやすい形で」「誤解されないように」加工するというものだ。 これはすべての刊行物にとって重要な工程である。なぜなら生の原稿は著者の衝動や感情こそ最大限に表現されているものの、その分読者への目線が抜け落ちているからである。言い換えると、人に読ませる気のない文章になっているのだ。こうした自己満足的とも言える文章を広く受け入れられる形にすることは、編集者の「使命」と感じる同業者は多かろう。

ただし、本当にそうなのだろうか。編集者は著者の原稿を整理すると言いながら、実は、同時に言葉を殺しているのではなかろうか。我々編集者(もとい、出版社)はあたかも文化の担い手、守り手であるかのような振る舞いをしておきながら、その実新しい文化の萌芽をつぶしているのではなかろうか。

編集者として仕事を続ける中で、これはおそらく一生向き合い続けねばならない問題、ジレンマなのだろうな。

疲れたためここで書き終わったことにした